北に向かうはいいものの…ウラナミシジミ

ウラナミシジミ

日本全国で秋になるとよく見られるようになるウラナミシジミは、日本の多くの地域では越冬できません。暖かい時期に世代を超えて移動してきた彼らは、冬になるとすべて死んでしまうにも関わらず、毎年なぜかやってくるのです。

ウラナミシジミとは?

ウラナミシジミ Lampides boeticus は、チョウ目シジミチョウ科ウラナミシジミ属のチョウです。シジミチョウの中では比較的大型で、前翅長は15〜20mmほど、翅を広げると3cmほどになり、よく見かけるヤマトシジミより一回り大きいです。アフリカ、ユーラシア大陸、オーストラリアに広く分布します。国内では、北海道南部以南でみられます。

どこでみられるの?

クズ

日当たりの良い草原や農地、公園、河川敷、路傍、荒れ地などでみられます。幼虫は、野生のクズやハギ類に加え、栽培品種のエンドウ、インゲンなどのマメ科の植物を食べます。成虫も幼虫の食草の近くでみられることが多いです。特に秋は、個体数が増えるため、住宅地にある緑地などでもみつけることができます。

日本で越冬できる北限は?

暖かい時期には、成虫は北海道南部以南の日本の全地域でみられますが、越冬可能な地域は、関東以西の太平洋側の沿岸地域と南西諸島です。越冬形態は、幼虫か蛹です。

北に移動し、北で死ぬ。

ウラナミシジミ

ウラナミシジミは、越冬可能地域から、春から秋にかけての暖かい時期に世代交代を繰り返しながら分布を北に拡大します。つまり、鳥の渡りのように決まった季節に個々の個体が長距離を移動するのではなく、成虫になったものが次々と長距離を移動する生態をもっています。年によって異なりますが、最も北に進むものは、北海道南部に到達します。ウラナミシジミが越冬できる北限である房総半島南部からの距離は、800キロ以上もあります。越冬地域では、年6-7化といわれておりそれより北の地域では、発生回数はより少ないと考えられるため、一世代の移動距離は平均して100キロ以上になる計算です。

北海道では、8月ごろから観察されはじめ、11月頃まで見られる年もあります。本地域で、成虫が卵を生む姿も観察されていますが、前述の通り日本で越冬できる地域は、温暖な地域に限られるため、房総半島より北の個体はすべて冬季には死滅してしまいます。

日本で長距離移動するチョウとして、アサギマダラが有名ですが、アサギマダラは秋には北方から南方へ移動するため、北の地で生まれた個体も次の世代を産むことができます。そのため、アサギマダラが好適環境を求めて、季節によって北上と南下を繰り返しているのは理解しやすいです。ウラナミシジミはその生態とは異なります。

ウラナミシジミの個体群に着目すると春から秋にかけて北に分布域を広げていることは確かなのですが、各個体に着目すると、果たしてすべてが北方向に移動しているかは分かりません。山や海といった地理的障壁のない方向へ向けて、各世代は全方向(同心円状)にランダムに分散している可能性も考えられます。そうだとすると、個体によっては南に移動することもあり得て、北で増えた個体の子孫の中には、世代を経て再び越冬可能地域まで南下するものもいるであろうと考えられます。

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#昆虫 #生態