住宅地で大騒ぎのバッタ、アオマツムシ

アオマツムシ

9月中旬、夜の住宅地を歩いていると、あちらこちらから聞こえる同じ虫の声。かなりの爆音で鳴く声の主は、アオマツムシでした。

アオマツムシとは?

アオマツムシ

アオマツムシ Truljalia hibinonis は、バッタ目カンタン科の21-23mmほどの大きさの昆虫です。原産地は中国です。日本では、1898年に東京の赤坂で初めて見つかり、現在は岩手県以南から九州に分布します。1970年頃から都市部で急増したと言われています。近年では、アオマツムシが最もよく声を聞く秋の虫であるという地域も多くあるようです。

アオマツムシ
アオマツムシ
後ろ脚はバッタの仲間にしては小さく、体側にピッタリつけて後ろにまっすぐ伸ばした体勢でじっとしていることが多いです。

何を食べるの?

モモの葉を食べるアオマツムシ

アオマツムシは雑食性とされています。植物については、広食性で様々な種類の植物を食べると言われています。飼育下で、カキ、ナシ、モモ、ウメ、ブドウ、クリ、クワ、ミカン、チャ、サクラ、アジサイ、ヒイラギナンテンの葉を2日間与えたところ、チャのみ食べず、その他の葉はすべて食べたという観察結果があります。また果実も、カキ、ナシ、ブドウ、ミカンを与えたところ、熟したミカンとブドウは食べなかったものの、熟したカキとナシは食べたと報告されています。

ちなみに、飼育しているアオマツムシにモモとアオジソ、イチゴの葉、及びかつお節を与えたのですが、かつお節については食べませんでした。草食傾向が強いのかもしれません。

樹上で生きるアオマツムシ

アオマツムシ
マンションの6階のモモの植木鉢にやってきたアオマツムシのオス

秋に鳴くバッタの仲間というと、スズムシやキリギリスのように、草藪の中に隠れて地面近くで鳴く種をまず思い浮かべるかもしれません。しかし、アオマツムシは、基本的に樹木の上で生活します。オスが鳴くのも樹木の上で、メスの産卵も樹木の枝や茎に行い、幼虫も樹上で生活します。そのため、土中に卵を生むスズムシやコオロギの仲間の多くと異なり、生涯を通して地面が必要になる時期はないようです。都市部でも、街路樹の上で生活しているものが多くいます。

モモの枝の上を歩くアオマツムシ 移動は思いのほか早く、「アオゴキブリ」と呼ばれることがあるほどです。

大音量のアオマツムシの声の影響

先述の通り、アオマツムシは1970年頃から急激に数を増やした外来種です。同所的に生息する在来種の虫たちは、鳴くタイミングや生息地、周波数などをずらすことにより、互いの声が干渉し合わないように進化してきたと考えられています。しかし、大音量で鳴く新参者のアオマツムシは、もちろんそんなことはお構いなしです。

アオマツムシ

アオマツムシの鳴き声には基音および2倍音が含まれています。これらの周波数が在来の直翅類(コオロギ類やキリギリス類)の音響周波数と重複することで、在来種の個体間コミュニケーションが阻害され、繁殖行動に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。

【参考文献】
石川千秋、河野幹幸、渡辺勇、藤井正巳、下畑次夫(1981)「カキ及びナシの果実を加害するアオマツムシ」『植物防疫』35(2): 73–75.

森林総合研究所 多摩森林科学園「アオマツムシ(9月)」.森林総合研究所「自然探訪」.(2026年9月17日閲覧).https://www.ffpri.go.jp/tmk/midokoro/tanhou/9september/aomatu.html

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